【OpenLearning, Japanレポート】JMOOC講座最大規模 早稲田大学で170名の反転学習開催!

2015年7月11日(土)、早稲田大学 向後千春教授による「しあわせに生きるための心理学 ~アドラー心理学入門~」(※1)の反転学習が、早稲田キャンパス3号館で行われました。 晴天にも恵まれ、JMOOC講座過去最大規模の170名が参加されました。反転学習の募集時は即日満席となるほどの人気ぶりでしたが、当日の教室も活気に満ちあふれ、充実した3時間となりました。この反転学習について、当講座のアンケート結果とあわせてレポートします。

早稲田大学時計台授業

■参加者の男女比・年齢構成

10代~70代の方が参加されました。男女別の年齢構成比は下表のとおりで、女性が64.8%、40代と50代があわせて66.1%となりました。

男女別年齢構成表

なお、心理学はJMOOCで女性の受講希望1位で、当講座の受講者全体の男女構成比は、従来の男性:女性=7:3(JMOOC事務局調べ)に比べ、男性:女性=4.5:5.5と女性の割合が上回りました。

■飽きさせない工夫を凝らした授業、熱心な受講生

オンライン学習時に行ったアドラー心理学に基づく自己分析結果を持ち寄り、それを使ってグループワークが行われました。自己分析結果は事前に他の受講者とオンライン上で相互評価(※2)が行われたり、ディスカッションボード上でやりとりすることで、受講者は事前に基礎的な知識を身につけ、受講者同士のコミュケーションがある程度形成された状態で、反転学習に臨みました。
170人を5~6人のグループに分けてグループワークが行われました。オンライン講座のディスカッションボードを担当したメンター2名も参加し、ワークの合間に向後教授と3名で巡回しながら随時質問に答えたりアドバイスをすることで、スムーズな進行をサポートしていました。
1時間×3の三部構成でしたが、「ライフスタイル診断」A~Dの各タイプで最高得点者の受講者がひとりずつ壇上に上がって即席で寸劇を行ったり、休憩時間に集めた質問カードを二部、三部が始まる前に向後教授が内容に応じて熱心にあるいはコミカルに回答するなど、参加者に対して参加意識や親近感を持たせ、飽きさせない工夫が随所に用意されていました。向後教授の軽妙な話術と相まって、最後まで盛り上がりを見せた授業でした。
熱心な受講者が多く、オンライン講座でダウンロードしたファイルのカラープリントに細かくメモ書きをしたり、参考図書と自作ノートを持参している方も見受けられました。反転学習が終わったあとも、グループワークの受講者同士が残ってしばらく話を続けたり、向後教授に質問や参考図書へのサインを求める長蛇の列ができていました。

寸劇の場面
▲寸劇の場面

質問カード
▲質問カード

ダウンロードファイルのプリントにメモ書き
▲ダウンロードファイルのプリントにメモ書き

参考書籍と自作ノート
▲参考書籍と自作ノート

■向後教授のコメント(終了後のインタビューより)

向後教授はインストラクショナルデザイン、教育工学が専門で、すでに他の講座で反転学習を経験されていますが、今回は従来以上に充実感があったとコメントされました。
  • 一体感があり、反応が新鮮だった。
  • まるで劇場のような盛り上がりだった。反転学習は面白い。
  • 今回は最後に反転学習を行ったためか、充実感があった。
  • 200名近くでも通常の教室でアクティブ・ラーニングができることを実感した。
  • 反転学習はどのような人が参加するか事前にわかるのがよい。
  • 今後の課題は、参加者に対するフォローアップや学習者コミュニティの形成だ。

新たな期待と可能性が感じられる反転学習でした。以下、当講座の修了率および受講者のアンケート結果についてお知らせします。

■当講座の修了率

当講座は、講義動画の視聴と受講者同士の相互評価を毎週、5サイクル行うというハードな内容でしたが、修了率は22.0%とJMOOC講座の中で高い値となりました。反転学習に参加した人の修了率は82.5%に達しました。

■受講者のアンケート結果

受講終了後、受講者に対して行ったアンケートの結果、満足度(満足とやや満足の合計)は92.9%理解度(理解できたとやや理解できたの合計)は94.1%と非常に高い値となりました。

当講座の満足度当講座の理解度

▼受講者のコメント
本講座を修了した受講者からは、以下のような声が寄せられました。

  • 講師の先生の講義内容、スピーチに引き込まれ密度の濃い時間を持てたこと、更には第2の人生の折り返し点で今の自分を受け入れ今後も自分らしく生きていこうと自覚できたことに感謝いたします。
  • 講座が、量的にも解説のわかりやすさ(難易度)も、無理なく最後まで受講できる内容だった。1週間に1テーマというペースも良かったし、データワークやノートワークという「参加型」の仕掛けも楽しむことができました。
  • アドラー心理学の考え方を短時間で簡潔にまとめて頂いていたため、非常に学びやすかったです。関連書籍を読んでいましたが、書籍から得る情報は「自分なりの解釈」で止まってしまうため、ワークを他者に評価してもらえたり、他者と関わりながら学べる点が非常に良かったです。
  • 向後先生の話は、わかりやすかったです。ビデオも短い時間で区切ってあったので、何度も繰り返し見るのによかったです。資料もダウンロードできて、メモ書きもできたし、よかったです。
  • 課題を人に評価されたり、評価することで、いろんな人たちの考え方に触れることができたのはよかった。同じような悩みを抱えながらも過ごしている人たちの様子を知ることで、自分も頑張ろうと思うことができた。
  • 海外に住んでいるのでネットでできるというところは素晴らしい!
  • 効率的に学習に取り組むことができました。わからないところは何度か再生したり、分かるところは早送りで再生したりと学習者の理解度に合わせることができた点がとても良かったと思います。また、クイズで理解度を確認できた点も良かったと思います。
  • 無料で自宅で受講できることは、主婦の私にとってとてもありがたかったです。
  • 仕事と、家事、子育ての中で期限ギリギリではありましたが、期限内にレポートを完了できたこと、最初は、自分でも後から読み直すと、何を言いたいのかわからなかった文章も、終盤には、皆さんから高評価を頂けるような文章が作れたことも非常に満足しています。
  • 対面授業に参加したので、より理解でき、楽しく学ぶことができた。

◆反転学習に関する記事掲載について

当日は複数のメディアが取材に来られました。株式会社リクルートホールディングスが提供するオンライン教育の情報配信サイト「Edmaps」さんに当日の様子を記事として取り上げていただきました。


(※1)講座内容についてはこちらをご覧ください。

(※2)相互評価:講師が定めた評価基準にもとづいて学習者お互課題を閲覧し合う仕組みです 。自分とは異なる意見や考え方に触れ、学習者同士が協力し合いながら、知識を主体的に作り上げていく協働学習の手法とし近年注目が集まっています。

2015/08/07

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