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農学がよみとく「いのち」と「生活」
~持続発展可能な社会へ~

◆本講座の講義動画には字幕が表示されます。
◆受講登録方法については、こちらをご覧ください。本講座の受講登録期限は、2017年1月5日(木)15:00 です。


講義内容

東京農工大学では農学を幅広くとらえ、「いのち」「生活」を支える農、食、環境に関する研究に取り組んでいます。今回は、コラーゲンの健康効果、環境汚染、次世代のバイオ肥料、自然との共生、というテーマを取り上げ、各分野の先端を走る研究内容を学習します。本講座を通じ、多角的視点から持続発展可能な社会の構築を目指す、多彩な農学研究への理解を深めましょう。

Week1 :体を構成するタンパク質~コラーゲン~ 2016/12/1(木)~ 選択式テスト
コラーゲンは皮や骨の主成分であり、ヒトの体の基本骨格を形成しています。コラーゲンの変性物であるゼラチンや加水分解コラーゲンは、機能性食品や化粧品用途での利用が注目されています。Week1ではコラーゲンの定義、機能性食品としてのコラーゲンの効果に関する研究について概説します。

Week2 :マイクロプラスチック:海のプラスチック汚染を考える 2016/12/8(木)~ 選択式テスト
近年、海を漂う微細なプラスチック(マイクロプラスチック)による汚染が問題となっています。レジ袋やお菓子の袋など日常生活で使って、捨てられたプラスチックの一部が、海に流入し、紫外線でぼろぼろになっていったものや、洗顔料に含まれているスクラブなどがその起源です。海水中で有害化学物質を吸着したり、魚が餌と一緒に食べたりするので、生物への影響も懸念されています。Week2では、マイクロプラスチックの起源、影響、対策について考えていきます。

Week3 :持続的な農業に資するバイオ肥料の開発とその実用化 2016/12/15(木)~ 選択式テスト
作物根圏に生息する一群の微生物は、作物の養分吸収を促進し、その生産性向上に役立ちます。当初は収量増加を主目的に様々な研究がなされていましたが、近年は化学肥料削減による低コスト化や環境負荷軽減に資するものとして注目を集めています。東京農工大学では、バチルス属細菌をキャリアに保持させたバイオ肥料を作成し、複数の研究機関と共同して、その特性評価、イネへの接種効果等の各種試験を実施しています。Week3ではその研究を概説します。

Week4 :環境との共生関係を支える認知と知性:認知心理学からのアプローチ 2016/12/22(木)~ 選択式テスト
環境や自然と共生するとはどういうことなのか、あるいは、そのようなことができるのかということを考えるために、私たちが他者に対して主体を認める態度や、私たち人間が持っている他者を思いやったり共感したりすることができる認知的能力とその内容について概観します。その上で、地域集団や地球規模で私たちがあるべき姿について考えてみます。

学習目標

農学を世の中に役立てるよう応用する”実学”としてとらえ、多角的な観点から持続発展可能な社会構築に貢献する教育研究であることに対する理解を深める。

受講対象者

健康、環境、農学全般に興味がある、または科学技術がどのように社会構築に貢献できるか考えたい方

前提知識

高校レベルの科学知識

講師紹介

  • 野村 義宏(のむら よしひろ)

    東京農工大学農学部教授 (農学博士)。1990年東京農工大学連合農学研究科博士課程修了。
    主な研究テーマ
    1)プロテオグリカンの構造と機能解析
    2)異種コラーゲンの利用科学
    3)毛ケラチンの利用科学
    4)動物資源の有効利用
    著書:「コラーゲンの用途開発の現状」化学経済 1-7(2016);「さめを食べる」調理食品と技術, 21, 26-37(2015)

    ◆受講を検討されている皆さんへ
    コラーゲンは身近なタンパク質です。コラーゲンの利用用途を解説し、特に食べるコラーゲンについて紹介します。

  • 高田 秀重(たかだ ひでしげ)

    東京農工大学農学部教授 (博士・理学)。1984年東京都立大学大学院理学研究科修士課程修了。趣味はBBQ。
    主な研究テーマ
    1)東京湾における有機汚染物質の動態の解析
    2)東南アジア・アフリカ地域における有機汚染物質の動態
    3)プラスチックによる環境汚染
    著書:「環境汚染化学」(丸善出版)

    ◆受講を検討されている皆さんへ
    マイクロプラスチックによる海洋汚染は21世紀の環境問題です。発生源は私たちの日常生活での使い捨てプラスチックが主なものです。みなさん自身の問題でもあり、将来に渡る問題です。一緒に考えてみましょう。

  • 横山 正(よこやま ただし)

    東京農工大学農学部教授 (農学博士)。1983年東京大学大学院農学系研究科博士課程修了。
    主な研究テーマ
    1)アジアにおける根粒菌とダイズの共生機構の解明とその利用
    2)水稲用バイオ肥料の開発と実用化
    3)放射性Csを吸収しない水稲やダイズの育種
    4)農耕地を汚染している放射性Csの植物-微生物相互作用を利用した除去技術の開発

    ◆受講を検討されている皆さんへ
    農業における窒素循環や、持続的な農業のために化学窒素肥料をどの様に低減させるか等に関して、作物に栄養を供給する有益な微生物の働きや、それに関する研究を紹介します。

  • 武田 庄平(たけだ しょうへい)

    東京農工大学農学部准教授(学術修士)。1990年大阪大学大学院人間科学研究科博士課程後期単位取得退学。
    主な研究テーマ
    1)霊長類における認知的行動の研究
    2)動物園動物における動物福祉向上のための飼育環境エンリッチメントの実施と評価に関わる研究
    3)日本と世界との比較に基づく動物園論
    4)人と動物の共生のあり方に関する研究
    著書:「動物福祉の現在」(2015)、「共生社会Ⅰ」(2016)、「動物園のつくり方」(翻訳書、2016)

    ◆受講を検討されている皆さんへ
    自然や環境と共生するために、私たち人間が有する認知的な基盤について考えます。

課題内容

1. 毎週、選択式の確認テストを実施
2. 最終週は選択式の最終テストも併せて実施

テストの配点とスケジュール

Week1 確認テスト: 1点×5問+2点×5問(15点)
Week2 確認テスト: 1点×5問+2点×5問(15点)
Week3 確認テスト: 1点×5問+2点×5問(15点)
Week4 確認テスト: 1点×5問+2点×5問(15点)
最終テスト: 2点×20問(40点)
合計100点

すべてのテストの解答期限: 2017年1月8日(日)

修了証発行日: 2017年1月13日(金)

修了条件

・すべての確認テスト、最終テストに解答(送信)すること
・すべての確認テスト、最終テストの合計で60点以上を獲得すること

参考文献

『共生社会Ⅰ 共生社会とは何か』武田庄平(尾関・矢口・古沢・岡野 編)農林統計出版
『共生社会システム学序説―持続可能な社会へのビジョン』武田庄平(矢口・尾関 編)青木書店
『プラスチックスープの海―北太平洋巨大ごみベルトは警告する』チャールズ・モア NHK出版